タイトル：一寸法師と妖精の物語 

昔々、あるところに、とても小さな男の子がいました。彼は生まれたときから一寸ほどしか大きくならず、両親は彼を一寸法師と名付けました。一寸法師は両親に愛されて育ちましたが、やがて世界を見たいと思うようになりました。そこである日、父親に馬の背中に乗せてもらって旅立ちました。 途中で出会った人々は一寸法師の小ささに驚きましたが、彼は勇敢で賢くて礼儀正しく、みんなに好かれました。しかし、彼は自分のような小さな人間が他にいるかどうか知りたくて仕方ありませんでした。そんなある日、森の中で美しい女性に出会いました。彼女は白いドレスを着て金色の髪をひらひらさせており、一寸法師よりも少し大きいだけでした。 「あなたは誰ですか？」一寸法師は尋ねました。 「私は妖精です。この森の主です」と女性は答えました。「あなたも妖精ですか？」 「私は妖精ではありません。私は人間です」と一寸法師は答えました。「でも私もこの森に住みたいです」 「それならば私と結婚してください」と女性は言いました。「私はあなたを愛しています」 一寸法師は女性の美しさと優しさに心を奪われましたが、両親のことを思い出しました。 「それでは両親に別れを告げる必要があります」と言って馬に乗って家へ向かいました。 しかし家に着くと、悲しい知らせが待っていました。両親は病気で亡くなってしまったのです。一寸法師は涙を流しながら墓前で祈りました。 「父さん、母さん。私は幸せになります。あなた方も天国で安らかにお休みください」と言って馬から降りて墓石に花束を置きました。 すると突然馬が暴れだし、一寸法師を蹴飛ばしてしまいました。一寸法師は気絶して倒れてしまったのです。 その時森から女性が現れました。 「あなたを助けます」と言って一寸法師を抱き上げるとキスをしました。 すると不思議なことが起こりました。一寸法師の体が光り始め、大きく変わって行きました。目覚めた時彼は普通の大きさの男性になっており、隣に座って微笑む女性も同じ大きさでした。 「これが本当の姿です」と女性は言いました。「あなたも私も妖精だったのです。でも人間界で生まれ育ったから自分の力や記憶を失ってしまったのです」 「本当ですか？」一寸法師（今では名前も変わっています）は驚きつつ
「本当です。私はあなたの婚約者です。私たちは森の王と王女でした。でも悪い魔法使いに襲われて人間界に追放されてしまったのです。それから長い間あなたを探していました」と女性は言いました。
「それならば私もあなたと一緒に森へ帰りましょう」と一寸法師は言いました。
「ではさあ、行きましょう」と女性は言って手を取りました。
二人は馬に乗って森へ向かいました。途中で出会った人々は二人の美しさと幸せそうな様子に感動しました。
やがて森の奥深くにある城に着きました。そこには妖精たちが待っており、二人を歓迎しました。
「お帰りなさい、王様、王女様」と言って拍手を送りました。
「ありがとう、みんな」と二人は言って笑顔で応えました。
そして二人は城で結婚式を挙げ、幸せに暮らしましたとさ。