1日1日を楽しく生きる

ある日の夏に脳幹出血で倒れ復活日々の日常の日記や最近覚えたてのチャットGPTを使って詩や小説などチャレンジしてます。

小説作成しました。タイトル:『夏のプールサイドの彼女(きみ)』


タイトル:『夏のプールサイドの彼女(きみ)』



第1章:夏の午後、冷たい水と君の声

 梅雨が明けたその週末、蝉の鳴き声が街を埋め尽くすように響いていた。
 高瀬悠は、大学の友人に強引に誘われる形で、市営プールへとやって来た。陽射しは容赦なく肌を焼き、水着姿でいるだけでじんわりと汗がにじむ。

「なあ、せっかくだし流れるプール行こうぜ!」

 プールサイドではしゃぐ友人たちの声が遠く聞こえる。だが、悠はその輪に加わる気分になれず、浅瀬のエリアにそっと腰を下ろした。

 プールに来るのなんて、小学生以来だ。水の冷たさに足を浸すだけで十分だった。ふと顔を上げると、向こう側の監視台にひとりの女性が座っていた。赤いキャップ、日焼けした肌、涼しげな眼差し。

 その視線が、自分の方を一瞬だけかすめた気がした。

「……まさかね」

 心の中で笑ったその瞬間、何かに足を取られた。思いがけず重心を崩し、ばしゃりと水に沈む。水を飲み、咳き込み、立ち上がれずにいると——。

「大丈夫ですか?」

 その声が、彼女だった。
 日差しの逆光で顔がよく見えない。けれど、差し出された手と、その細い指先がやけに記憶に焼きついた。

「す、すみません……あの、ちょっと足を滑らせて……」

「無理しないでくださいね。浅くても油断すると危ないですから」

 短いやり取りだった。けれど、彼女の声は、夏の太陽とはまるで反対の、静かな水のように涼しく、胸の奥に染み込んでいった。

 ——なんだ、この感じ。

 まぶしさの中で見上げた少女は、すぐにまた監視台に戻ってしまった。彼女の名前も、年齢も、何も知らない。ただ、水に濡れた腕と心だけが、少しだけ震えていた。



第2章:麦わら帽子とアイスの味

 あの日から数日後。
 高瀬悠は、再び市民プールの入り口をくぐっていた。理由は自分でもはっきりしない。ただ、あの時の出来事が心に残っていて、妙に胸が落ち着かなかったのだ。

 今日も暑い。けれど、空気のざわめきの中に期待のようなものが混じっているのを、自分でも自覚していた。

 浅瀬のあたりに腰を下ろして、しばらく水に足を浸す。ちら、と監視台を見上げると、そこには見覚えのある赤いキャップと日焼けした肌——そして、あの瞳。

 彼女はこちらに気づいているのかいないのか、無表情でプール全体を見渡していた。

 しばらくすると、笛の音が鳴った。休憩時間の合図だ。プールから上がった人々がぞろぞろとベンチや日陰に移動していく中、彼女も帽子を外し、軽く背伸びをした。

 悠は、自動販売機に向かいながら、迷った末に二つのアイスを買った。スイカバーとガリガリ君——どちらが彼女の好みかなんて分からないが、直感だった。

 監視台の近くのベンチで、彼女が水を飲んでいた。

「あの……こないだ助けてくれたお礼。良かったら、どっちか好きな方」

 差し出すと、彼女は少し驚いた顔をして、それから小さく笑った。

「じゃあ……こっちで」

 彼女が選んだのは、ガリガリ君。袋を破りながら、ふっと肩の力が抜けたように言った。

「まさか、覚えててくれたんですね」

「いや、あの時……正直、ちょっと恥ずかしかったけど、声が優しかったのが印象的で」

 朱音——彼女はその時、自分の名前を教えてくれた。佐野朱音。大学生で、この夏だけプールの監視員のバイトをしているらしい。

「バイト、あと一週間くらいで終わりなんです」

「えっ、もう? 夏、まだこれからじゃ……」

「でも、夏ってそういうものでしょ。始まったと思ったら、すぐ終わる」

 笑って言った朱音の横顔が、どこか寂しげに見えた。アイスが少し溶けて、指先にたれていた。

 その日、悠はプールに入らずに帰った。けれど、胸の中には確かに、“夏”が始まりかけている気配があった。



第3章:透明な時間、すこしずつ近づく影

 夏休みの間、高瀬悠は何度もプールへ足を運んだ。
 もともと泳ぐのは得意でも好きでもなかったはずなのに、なぜか、気づけば通っていた。

 理由は一つ——佐野朱音に会いたかったから。

 彼女は相変わらず監視台の上からプールを見守っていた。けれど、休憩時間になると、悠と並んでベンチに座り、何気ない会話を交わすようになっていた。

「大学、何を専攻してるんですか?」

「文学部だよ。小説とかエッセイとか読むのが好きで。朱音は?」

「福祉系。人と関わる仕事がしたいと思って」

 そう語る朱音の表情は、明るいようでいて、どこか影を落としているように見える時があった。

 ある日の午後、強い日差しが雲に遮られ、プールが一瞬静まり返った時、彼女がぽつりと呟いた。

「ねえ、悠くんって、夏が好き?」

「え……うーん、昔は苦手だったけど、今年はちょっと違うかも」

「そっか。私は、少し苦手かな。終わりが見えるから」

 その言葉の意味を、悠はすぐには理解できなかった。ただ、朱音の視線が遠くを見ているように感じた。

 夏の終わりが近づくにつれ、悠は自分の中に芽生えている想いを自覚し始めていた。彼女と過ごす時間が心地よく、また少しずつ恐ろしくなっていた。

 ある日、勇気を出して聞いてみた。

「朱音、バイト終わったら、また会えるかな?」

 彼女は少し間を置いてから、ゆっくりと首を振った。

「……ううん、ごめんね。夏が終わったら、引っ越すの。ちょっと遠くに」

 言葉の意味が、すぐには呑み込めなかった。けれど、朱音の表情は、その言葉以上のことを伝えていた。

 ——この夏は、一度きりのものなんだ。

 胸の奥が、じわりと痛んだ。



第4章:水面に浮かぶ約束

 八月の終わり。プールに響く子どもたちの声もどこか静かになり、蝉の鳴き声さえ間延びして聞こえるようになった。

 佐野朱音のアルバイトは、いよいよ明日が最終日だった。

 高瀬悠は、その日の午後、ふと思いついたように申し出た。

「なあ、夜の清掃、手伝わせてもらえないかな。最後に、少しだけ、話がしたくて」

 朱音は驚いたように目を見開き、それから、ゆっくりと頷いた。

 日が沈んだあとのプールは、水面が月明かりを反射して静かに揺れていた。周囲には誰もいない。朱音はタオルを肩にかけたまま、水の縁を歩いていた。

「誰もいないプールって、不思議な感じだね」

「うん。昼間とは、まるで別の場所みたい」

 悠はバケツを手にして、水面を見つめた。ふと、彼女の横顔が目に入る。
 何かを言わなくてはならない。今言わなければ、もう二度と伝えられない。

「朱音、俺……」

 言葉が詰まった。けれど、彼女は先に口を開いた。

「ありがとう、悠くん。プールで転んでくれて」

 思わず、笑ってしまった。

「それ、褒められてるのか……?」

「うん、ちょっとだけね。——私、ここで働いてる間、毎日同じ景色を見てた。でも、悠くんが来てから、少しずつ風景が変わって見えるようになったんだ」

 彼女の声は、柔らかく、それでいて切なかった。

「好きになってしまったよ。——でも、引っ越すことは、もう決まってるの」

 悠は何も言えずにうなずいた。自分の想いを伝えるよりも、彼女の決意を受け入れることのほうが、大切だと感じたから。

 ふと、朱音がポケットから何かを取り出した。小さな、ガラスのペンダントだった。

「これ、置いていくね。お守りみたいなもの。夏が終わっても、覚えててくれたら嬉しい」

 手のひらに載せられたペンダントは、プールの水面のように澄んでいて、光を反射してきらきらと揺れていた。

 その夜、言葉にできなかった約束が、水面にそっと浮かんだ。



第5章:夏の忘れもの

 佐野朱音が最後に見守ったプールの水面は、静かだった。
 翌朝、悠は少しだけ早起きして、バイトが終わったあとのプールに向かった。誰もいない更衣室、しまわれたパラソル、干されたライフジャケットたち。

 彼女は、もうこの場所にはいなかった。

 受付の職員に聞いても「早朝に挨拶だけして帰っていったよ」とのことだった。連絡先は知らない。朱音が最後まで残さなかったのは、きっと理由があるのだろう。

 悠は、ベンチに座った。ふと、足元に何かが落ちているのに気づく。拾い上げると、それは髪を束ねる細いリボン——朱音がいつも使っていた、麦わら帽子の下から覗いていたものだった。

 無意識に笑みが漏れる。
 彼女らしい、照れたような、優しい置き土産だった。

 それからしばらく、悠はぼんやりと空を眺めた。少しだけ雲が増えて、太陽の輪郭が淡く滲んでいる。蝉の声も、今日はどこか遠く感じる。

 でも、心の中には確かに残っている。
 冷たい水の感触と、笑い声。目を細めた彼女の顔。真夏の匂い。

 ——夏は終わる。でも、それが「終わり」だとは、もう思わない。

 悠は、そっとポケットに手を入れた。ガラスのペンダントが、指先に触れる。

 次の夏が来た時、また誰かと笑い合えるように。
 それが彼女から受け取った、大切なものだった。


[完]『夏のプールサイドの彼女(きみ)』

小説作成しました。タイトル:ストリートの約束

タイトル:ストリートの約束


第一章:突然の出会い

アスファルトの匂いがまだ残る夏の夕暮れ、俺はいつもと同じように、駅前のストリートバスケットコートにいた。ボールがリングを擦る乾いた音だけが響く中、俺はひたすらシュートを打ち続けた。身体が軋むような疲労感も、胸の奥で燻る痛みも、すべてをこのボールにぶつけていた。

あいつと出会ったのは、このコートだった。

「あんた、下手くそね」

背後から聞こえた声に振り返ると、そこにいたのは、燃えるような赤毛を揺らす、小柄な女だった。ジャージ姿にキャップを深く被り、その目だけがギラギラと輝いていた。

「はあ?」

思わず低い声が出た。プライドが傷ついた。俺は、このストリートではそれなりに名の知れたプレーヤーだったからだ。

「だって、全然入ってないじゃん。フォームもバラバラだし、何より顔が死んでる」

言いたい放題の彼女に、反論の言葉が見つからなかった。確かに、その日の俺はひどかった。あの日、初めて付き合った彼女にフラれたばかりで、心ここにあらず、といった状態だった。

「…関係ないだろ」

そう呟くのが精一杯だった。彼女はふっと笑った。嘲笑ではなく、どこか優しい、けれど挑発的な笑みだった。

「そんな顔してちゃ、シュートも入らないわよ。もっと楽しんで打たなきゃ」

そう言うと、彼女は俺の手からボールをひょいと奪い取った。そして、流れるようなフォームで、迷いなくボールをリングに放った。

「スパン!」

ネットを揺らす快音が響き渡る。まるで、俺の心に直接響いたかのような、心地よい音だった。

「どう?
簡単でしょ?」

得意げに笑う彼女の横顔に、俺はなぜか目を奪われた。それまで経験したことのない感情が、胸の奥でじわじわと広がっていくのを感じた。

それが、あいつ――佐倉美咲との出会いだった。



第二章:ストリートの約束

美咲は、俺とは正反対の人間だった。俺が感情を内に秘めるタイプだったのに対し、彼女は思ったことをすぐに口に出し、感情をむき出しにするタイプだった。俺が過去に囚われがちだったのに対し、彼女は常に未来を見据え、前向きなエネルギーに満ち溢れていた。

美咲は、バスケの腕も確かなものだった。男顔負けのドライブ、正確なパス、そして何よりも、ここぞという時に決めるシュート力は、俺をはるかに凌駕していた。彼女はいつも、俺を挑発するように言った。

「あんた、そんなんじゃ一生勝てないよ。もっと泥臭く、もっとがむしゃらに、ボールに食らいつきなさいよ!」

最初は反発した。しかし、彼女と過ごすうちに、俺は少しずつ変わっていった。美咲の言葉は、いつも俺の心に突き刺さり、俺を動かした。彼女のバスケに対する情熱は、俺の忘れかけていた情熱に火をつけた。

毎日、俺たちはこのコートで会った。日が暮れるまで、夢中でボールを追いかけた。お互いのプレーにダメ出しをし合い、新しい技を教え合った。そして、疲れてベンチに座り込むと、くだらない話をして笑い合った。

美咲の口癖は、「ストリートの約束」だった。

「このコートで出会ったんだから、このコートでずっと一緒にバスケするの。それが、あたしたちのストリートの約束よ」

その言葉を聞くたびに、俺の心は温かい光に包まれた。美咲と出会ってから、俺の世界は色鮮やかに変わっていった。失恋の痛みは薄れ、毎日が充実していた。俺は、いつしか美咲に惹かれていることに気づいていた。



第三章:告白と変化

ある日の夕暮れ、シュート練習を終えた俺は、ベンチに座る美咲の隣に腰を下ろした。沈む夕日が、美咲の赤毛をさらに鮮やかに染め上げていた。

「なあ、美咲」

俺は意を決して、口を開いた。心臓がうるさいくらいに鳴っていた。

「ん?
何?」

美咲は、キャップのつばを少し上げて、俺を見た。その澄んだ瞳に、俺の顔が映っている。

「俺さ、美咲のこと…」

言葉が喉に詰まる。こんなにも臆病な自分に苛立ちを感じた。

好きだ

ようやく絞り出した言葉は、震えていたかもしれない。美咲は、一瞬だけ目を見開いた後、ふわりと笑った。

「知ってた」

その言葉に、俺は顔を真っ赤にした。美咲は、俺の反応を見てさらに笑った。

「あんた、分かりやすいんだもん。いつもあたしのこと目で追ってるし、あたしが他の男と話してると、すぐ睨むし」

美咲の言葉に、俺は恥ずかしくなった。そんなにバレバレだったのか。

「ねえ、あたしも好きだよ。ずっと前から」

美咲の言葉に、俺の心臓は飛び跳ねた。そして、これまでにないほどの幸福感に包まれた。俺は、美咲の手をそっと握った。美咲の指は、バスケで鍛えられているせいか、少しごつごつしていたけれど、温かかった。

「これで、ストリートの約束、もっと強固になったね」

美咲は、悪戯っぽく笑った。俺は、ただただ頷くことしかできなかった。この瞬間が、永遠に続けばいいと心から願った。

美咲と付き合い始めてから、俺たちの関係はさらに深まった。このコートは、俺たちにとって、ただバスケをするだけの場所ではなくなった。思い出を共有し、未来を語り合う、大切な場所になった。

美咲は、俺に新しい世界を見せてくれた。俺がこれまで知らなかった、バスケ以外の趣味にも誘ってくれた。ライブハウスに行ったり、自転車で遠くまでサイクリングに出かけたり、時には美術館に足を運んだりもした。美咲といる時間は、いつも刺激的で、俺の人生を豊かにしてくれた。

バスケの腕も、美咲のおかげで格段に上達した。美咲は、常に俺の限界を引き出そうとした。

「あんたなら、もっとできる!
自分を信じなさいよ!」

美咲の言葉は、魔法のようだった。諦めそうになった時も、美咲の声が聞こえると、もう一度立ち上がることができた。

俺は、美咲との未来を明確に思い描いていた。大学を卒業したら、プロのバスケットボール選手になる。そして、美咲を支え、ずっと一緒に生きていく。それが、俺の夢だった。



第四章:崩れ去る約束

しかし、その夢は、ある日突然、音を立てて崩れ去った。

美咲からの連絡が、途絶えた。

最初は、たまたま忙しいだけだろうと思った。美咲は大学でバスケ部に所属しており、練習や試合で忙しい日も多かったからだ。しかし、一週間、二週間と経っても、美咲からの連絡はなかった。電話をしても、メッセージを送っても、返事は一切なかった。

俺は不安になり、美咲の大学へ向かった。バスケ部の練習を見に行っても、美咲の姿はなかった。部員に尋ねてみると、「佐倉は、今学期から休学しています」と言われた。

頭が真っ白になった。休学?
なぜ? 何も聞いていない。

何度も何度も、美咲の家に電話をかけた。しかし、何度かけても、繋がることはなかった。俺は、途方に暮れた。

そして、一ヶ月が経った頃、美咲の母親から、一本の電話がかかってきた。

「あの、宮本さん…」

美咲の母親の声は、震えていた。そして、その口から語られた事実に、俺は絶句した。

美咲は、重い病気を患っていた。発症したのは、俺と出会う少し前だったという。症状は進行性で、激しい運動は控えるようにと医者から言われていた。だから、バスケ部に所属しながらも、練習は制限されていたのだと。

そして、最近になって、病状が悪化し、緊急入院したと。

「美咲は、あなたに心配をかけたくないと言っていました。だから、黙っていたんです」

美咲の母親の言葉に、俺はただただ涙を流すことしかできなかった。なぜ、俺に何も言ってくれなかったんだ。なぜ、一人で抱え込んでいたんだ。

俺はすぐに、美咲が入院している病院へ向かった。病室の扉を開けると、そこにいた美咲は、以前の面影をほとんど残していなかった。痩せ細り、髪は抜け落ち、点滴の管が体に繋がれていた。

「美咲…」

俺の声に、美咲はゆっくりと目を開けた。その瞳には、かつての輝きはなかった。

「宮本…なんで、ここに…」

美咲の声は、か細く、掠れていた。

「なんで黙ってたんだよ…!
俺に、何も言ってくれなかったんだ…」

俺は、美咲の手を握りしめた。美咲の手は、驚くほど冷たかった。

「心配…かけたくなかったから…」

美咲は、力なく微笑んだ。その笑顔は、あまりにも儚かった。



第五章:再びストリートへ

それから、俺は毎日、美咲の病室に通った。バスケの練習も、大学も、手につかなかった。俺のすべては、美咲のことだけだった。

美咲は、日に日に衰弱していった。それでも、俺がバスケの話をすると、少しだけ目を開き、微笑んでくれた。

「あんた、ちゃんと練習してる?
ストリートの約束、忘れてない?」

ある日、美咲は、か細い声でそう言った。俺は、涙をこらえながら頷いた。

「もちろん。美咲と、ずっとバスケするんだ。約束だろ?」

美咲は、安心したように微笑んだ。

「そう…よかった…」

それが、美咲と交わした最後の言葉だった。

その夜、美咲は、静かに息を引き取った。

俺の人生から、光が消えた。

美咲が旅立ってから、俺はバスケを辞めた。バスケットボールを見るのも、触るのも、すべてが嫌になった。このコートに来ることもなくなった。美咲との思い出が、あまりにも鮮明に蘇るからだ。

あの日から、俺は抜け殻のようだった。大学も休学し、部屋に引きこもる日々が続いた。時間だけが、無情にも過ぎていった。

ある日、俺は偶然、部屋の隅に転がっていたバスケットボールを見つけた。美咲が、初めてこのコートで俺に教えてくれた、あのボールだった。

そのボールを手に取ると、美咲の言葉が、耳の奥で蘇った。

「あんた、そんな顔してちゃ、シュートも入らないわよ。もっと楽しんで打たなきゃ」

「あんたなら、もっとできる!
自分を信じなさいよ!」

そして、「ストリートの約束」。

俺は、ハッと我に返った。美咲は、俺にバスケを辞めてほしくなかったはずだ。美咲は、俺に夢を追い続けてほしかったはずだ。

俺は、ゆっくりと立ち上がった。埃を被ったバスケットシューズを履き、家を飛び出した。向かう先は、一つしかなかった。

駅前のストリートバスケットコート。

コートに着くと、そこには誰もいなかった。静まり返ったコートに、俺は一人で立った。ボールを高く掲げ、リングに向かって放った。

ボールは、リングに届かなかった。

何度も、何度も、シュートを打った。どれだけ打っても、シュートは入らなかった。身体は鈍り、フォームはバラバラだった。

それでも、俺は打ち続けた。身体が軋み、汗が目に入ってきても、打ち続けた。

その時、ふと、美咲が初めてこのコートでシュートを決めた時のことを思い出した。あの時の美咲の、自信に満ちた横顔。そして、ネットを揺らす、あの快音。

「スパン!」

その音を思い浮かべながら、俺はもう一度、シュートを放った。

今度は、ボールはリングを通り抜け、ネットを揺らした。

乾いた快音が、静かなコートに響き渡る。

俺の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

美咲

俺は、これからもバスケを続ける。お前とのストリートの約束を果たすために。そして、いつか必ず、プロの選手になる。お前が見守ってくれていると信じて。

俺は、空を見上げた。満月の光が、コートを優しく照らしている。まるで、美咲がそこにいるかのように。

俺は、もう一度ボールを拾い上げた。そして、来る日も来る日も、このストリートでシュートを打ち続けた。美咲との約束を胸に抱き、失われた光を取り戻すために。

たとえ、お前がもうこの世にいなくても、俺たちの「ストリートの約束」は、永遠に俺の心の中で生き続ける。

俺は、もう一度、前を向いて歩き出す。このコートで、美咲と出会った日のように。

短編小説作成しました。タイトル:じわじわ系怪談5話パート2

タイトル:実話系事故物件怪談5話


☔ 怪談 第一話『天井のシミと夜中の音』

俺がその部屋を見つけたのは、転職で都内に出てきた直後のことだった。
新しい職場まで徒歩10分、家賃は相場よりも安い。
古いけど清潔感はあったし、管理会社も対応が早かった。
「ちょっと得したな」と思いながら、契約した。

ただ、ひとつだけ気になる点があった。
それは、寝室の天井にある黒いシミ
畳一枚分くらいの広さで、ちょうどベッドの真上にある。

内見のときに「水漏れ跡ですか?」と尋ねると、
不動産屋は「だいぶ前のもので、今は問題ありません」と答えた。
信じて、そのまま入居した。


最初の数日は特に何もなかった。

ただ、夜になるとシミのあたりから 「ポタ……ポタ……」 と、
水滴が落ちるような音が聞こえることがあった。

部屋は乾いているし、天井に濡れた様子もない。

「気のせいかな」と思いながら眠った。

でも、その音は毎晩、決まって深夜2時頃にだけ聞こえてくる。


ある夜、スマホの録音アプリをセットして寝てみた。
翌朝確認してみると、2時14分から2分ほど、
はっきりと「ポタ……ポタ……」という音が記録されていた。

しかも、よく聞くとその音の合間に──

「ふ……ふふ……」

笑い声のようなものが微かに入っていた。

俺は凍りついた。


管理会社に問い合わせても、
「上の階に漏水などの事実は確認されておりません」
「苦情の記録もありません」とのこと。

じゃあ、あの音と声は……なんだ?


数日後、会社から帰宅すると、部屋の空気がいつもより重たく感じた。

電気をつけると、天井のシミがわずかに広がっているように見えた

「気のせい……だよな?」

でも、真下に置いていたベッドのシーツが、
うっすらと湿っていた。

ポツン、ポツンと、丸い水滴の跡が2つ。
それは、まるで誰かが天井から見下ろしていた位置に一致していた。


その夜も眠れなかった。
電気をつけたままベッドに横たわっていると、天井のシミのあたりからまた音が聞こえる。

「ポタ……ポタ……」

続いて、

「コッ……コッ……」

それは、水滴ではない。
何か硬いものが、天井をノックするような音。

見上げた天井の中心──シミの中に、黒い点が浮かんでいるのが見えた。

瞬きをした。
次の瞬間、その“点”は目だったと気づいた。

誰かが、天井の向こうから、こちらを覗いている。


悲鳴を上げて飛び起き、部屋を飛び出して外に出た。
マンションの前で息を整えながら見上げると、
俺の部屋の窓のカーテンが、わずかに揺れていた。

誰もいないはずの部屋で。


次の日、意を決して管理会社にもう一度尋ねた。

「この部屋……過去に何か、あったんですか?」

担当者は、一瞬言葉を詰まらせたあと、小声で言った。

「……実は、上の階で、孤独死がありました。
発見まで少し時間がかかりまして……
そのとき、体液が下の部屋に……流れてしまって……」

俺の頭が、真っ白になった。

あのシミは……
その人の“痕跡”だった。


それでも俺は、そこにもう1週間だけ住んだ。

引っ越し先が決まるまでの辛抱と思って。

でも最後の夜、あの音がまた聞こえた。

「ポタ……ポタ……」

そして、それに混じる声。

「みつけた……」


朝、目が覚めたとき。
天井のシミの下に、水たまりができていた。

ベッドの隣に、まるで誰かが立っていたかのような位置。

そこに濡れた足跡が、一歩、だけ。


それから引っ越して半年。
今の部屋に異常はない。

でも時々、夜中の2時に、天井から聞こえる気がする。

「ポタ……ポタ……」



🗝️ 怪談 第二話『開かないクローゼット』


大学進学を機に上京してきた遥(はるか)は、都内の古いアパートで一人暮らしを始めた。
築年数は40年。2階建ての木造で、いかにも昭和な雰囲気だったけど、家賃は驚くほど安かった。

駅からも近くて即決だったが、唯一不思議だったのが、部屋の端にある開かないクローゼット

契約のとき、不動産会社の人がこう言った。

「そこ、中に前の入居者の私物が入っていて、管理人の許可なしには開けないようになってるんです。何年も使ってないのでご安心を」

そのときは、特に気にしなかった。
古い建物にはありがちだし、押し入れも別にあったので困ることはなかった。


それから数ヶ月、生活は順調だった。
ただ、ある日から、奇妙なことが起き始めた。

夜中、寝ようと部屋の電気を消すと、どこからともなく、**「カリ……カリ……」**という音がする。

最初はネズミか何かだと思ったが、その音はいつも同じ位置から聞こえていた。
――開かないクローゼットの中から

布団の中で息を潜めていると、音が止まる。
でも、明かりを消すとまた始まる。

「カリ……カリ……」

まるで何かが中から、扉をひっかいているような音。


我慢できなくなって管理人に連絡したが、
「あの扉は開けちゃいけない。前に無理やり開けた人が、ちょっとおかしくなったからね」と言われた。

「おかしくなった?」と聞き返すと、管理人は口をつぐんだ。


ある夜、遥は眠れず、スマホで動画を見ながらウトウトしていた。
ふと、視線を感じて顔を上げると──

クローゼットの扉の隙間が、ほんの少しだけ開いていた。

「えっ……?」

鍵がかかっていたはずの扉。誰も触っていない。
でも、その隙間から、何かがこちらを見ている気配がした。

中は真っ暗で見えない。でも、確かに感じる。

遥は震える手で懐中電灯をつけ、中を照らした。

何もいない……はずだった。

でも、その光がクローゼットの奥に当たった瞬間、
そこに“位牌”が立っていた

白い布がかけられ、無数の“爪痕”のような跡が、扉の内側に刻まれていた。


あまりの恐怖にその夜は友人の家に泊まった。

翌日、不動産会社に抗議したが、「そのような情報は一切記載されていません」と繰り返すばかり。
「退去したいならどうぞ」と、あっさりとした態度。

遥は、その日のうちに引っ越し先を決め、数日後には部屋を出ることにした。


退去の前日、最後の掃除をしていると、再びあのクローゼットがわずかに開いていた。
白い布が、扉の隙間からスーッと外に向かって滑り出してきた

そして、中から囁くような声が。

「ひらいて」

遥は恐怖で後ずさりし、玄関から飛び出した。


それから数年後、あのアパートは取り壊された。

だが、地元の掲示板には、今でも書き込まれているという。

「取り壊し中の建物の前で、白い布を抱えた女の子を見た」
「夜になると、壁の中から“カリカリ”と音がする」
「誰もいないはずなのに、扉の隙間から目が見えた」


あのクローゼットの中にいたのは、一体誰だったのか。
なぜ、開けてはいけなかったのか。

今となっては、もう誰にもわからない。



🧳 怪談 第三『引き出しの中の写真』

社会人3年目の冬。
都内で一人暮らしをしていた俺は、更新料の関係で引っ越すことになった。
条件は「駅から近い」「家賃が安い」「即入居可能」。
そんな中で見つけたのが、築年数30年の1DKマンションだった。

内見の日、部屋に入った瞬間、なぜか空気がひんやりしていた
2月の寒さとは違う、肌の奥を撫でるような冷たさ。

「まぁ、古い部屋だしこんなもんか」

不動産屋も管理会社も特に変わったことは言わない。
契約書に“告知事項あり”とは書いてあったけど、
「近隣トラブルがあっただけです」とのことだった。

俺は深く考えずに契約し、その週末には引っ越した。


引っ越し初日。荷物を運び込み、一段落したあと、備え付けの古いタンスを掃除していた。

上段、中段は空だったが、一番下の引き出しだけ、奥に何かが引っかかっていた。

手を突っ込んで引きずり出してみると、
それは黄ばんだ封筒だった。

封筒の中には、数枚の古いポラロイド写真。

1枚目を見て、思わず息をのんだ。

白黒のような淡い色味の中、裸電球の天井の下。
中央には、首を吊ってぶら下がる足が写っていた。

顔は写っていない。
でも、その足元に小さな手鏡が落ちていた。

次の写真。鏡が微妙に角度を変えていて──
そこに、反射したような女の顔が、ぼんやりと映っていた。

目を見開いて、真っ直ぐカメラを見ていた。


全身に鳥肌が立った。

何かの冗談だろうか?

念のため、写真をタオルにくるんで押し入れに突っ込んだ。
不気味すぎて、処分する勇気もなかった。

その夜は眠れなかった。


翌朝、会社へ行く準備をしながらふと鏡を見ると、
自分の後ろに誰かが立っている気配がした。

思わず振り返る。誰もいない。
でも、また鏡を見ると──やっぱり、いる。

髪の長い、濡れたような女。

目だけが鏡越しに、俺を見ていた。


それからだ。
夜、部屋の電気が勝手に消えるようになった。
カーテンが風もないのに揺れるようになった。

決定的だったのは、3日目の深夜。

寝ようとしていたら、引き出しの方から──
「カタ……カタ……」と音がした。

電気をつけて近づくと、あの引き出しが少し開いていた

中を見ると、あのポラロイド写真が引っ張り出されていた。

しかも、1枚だけ増えていた。

その写真には、ベッドで寝ている俺の姿が写っていた。
天井の角から見下ろすアングル。
今の部屋とまったく同じ。

写真の隅には、小さく手書きでこう書かれていた。

「つぎは あなた」


管理会社に連絡しても、「私どもでは把握しておりません」の一点張り。

地元の知り合いが、ネットで調べてくれた。

その部屋、2年前に女性が首を吊って亡くなっていたという噂があるらしい。
ポラロイドは、もしかすると遺族が残したものか、あるいは……


俺は即日退去を申し出た。

あの写真は、捨てることができず、封筒に入れて部屋に置いたまま引っ越した。

そして、あれから半年。

今の部屋で眠っていたある晩、ふと物音で目が覚めた。

引き戸が、少しだけ開いていた。

そこから誰かが……俺を覗いていた。

翌朝、ドアの下に封筒が落ちていた。

中には、またあの写真が──
寝ている俺を、今の部屋で撮ったものが。


写真には、手書きの文字があった。

「ひとりじゃないよ」



👤 怪談 第四話『窓の外に立つ人影』

大学の春休み、サークル仲間4人で格安のシェアハウスを借りた。
場所は都内から少し外れた住宅地。築40年、古びた木造2階建て。
家賃は一人2万円。光熱費も入れてこの値段。みんなで即決した。

最初は楽しかった。
日中はバイト、夜は映画やゲーム。
少しボロいが、それも“合宿っぽくて楽しい”と誰も気にしていなかった。

だが、異変はある夜、ふとしたひと言から始まった。


「……あれ、また今日も来てるな」

と、リョウがぼそりと呟いた。

「なにが?」

「窓のとこにさ、毎晩あの時間に、立ってるんだよな……人影。
 昨日も見たし、たぶん今日もいるぞ」

みんな冗談だと思って笑っていた。

でも、3階のリョウの部屋の窓は、地面から5メートル以上の高さにある。

「まさかよ、誰が登って来んだよ」

「いや、ほんとだって。身長高くて、肩までしか見えない感じ。
 でも、絶対じーっと見てる。窓の真横で」


次の日の夜、俺は試しにリョウの部屋へ行ってみた。
時計はちょうど午前1時を回ったところ。

カーテンの隙間から、そっと外を覗く。

……いた。

はっきりと、人の肩から上だけが窓の端に映っていた。

長い髪、顔は影になっていて見えない。

数秒間、そいつはピクリとも動かなかった。

「マジじゃん……これ、なに?」

俺は思わず声を上げた。

リョウも「だろ?」と小声で言ったが、顔は引きつっていた。

怖くなってカーテンを閉めた。


その日からだ。

夜になると誰もリョウの部屋に近づかなくなった。

本人も、できるだけ帰宅を遅らせ、リビングで寝るようになった。

しかし“それ”は、窓を変えて現れ始めた。

2階のユウジの部屋。
1階のキッチン横の小窓。
そしてある夜、俺の部屋のベランダのガラスにも――

 同じ高さ、同じ髪型、同じ無表情の“人影” が立っていた。


しかも、だんだんとガラスの向こうに近づいている気がした。

最初は1メートル離れていた。
それが数日後には30センチ、
ついにはガラスに額を押し当てているような姿になった。

リョウが言った。

「たぶん、入って来ようとしてんだと思う」


リョウはあまり寝られなくなり、げっそりとしていた。

ある日、「もう無理だ」と言って実家に帰った。
その数日後、彼からLINEが来た。

【今朝、家の裏に女が立ってた。】
【顔が、窓に貼りつくくらい近くて、笑ってた】
【……なんでついてきてんだよ】


俺たちは慌てて、物件の管理会社に連絡した。
すると、あっさりこう言われた。

「ええ、そこ、昔一家心中があった物件です
 3階の窓から飛び降りた方もいらして……
 でも、告知義務はもう終わってますので」

俺たちはすぐにそのシェアハウスを出た。


ただ、一つ気がかりなのは。

引っ越して数日後の夜。
俺の部屋のカーテンが、風もないのに揺れていた。

窓には、額を押し当てたような跡がついていた。

そしてそのガラスの内側に、指でなぞったような文字が浮かんでいた。

「みつけた」



🛁 怪談 第五話『鏡が曇らない』

そのワンルームマンションに引っ越したのは、8月の終わり。
築25年、ユニットバス付きで家賃も手頃。駅からも徒歩圏内だった。

「お風呂が広くていいですね」と内見のときに言った俺に、不動産屋はなぜか少しだけ言葉を詰まらせたように見えた。

「はい、あまり使われてなかったんですよ……前の方は、シャワー派だったみたいで」

そのときは気にも留めなかった。


最初に違和感を覚えたのは、入浴初日のことだった。

湯を張り、シャワーで室内を温め、湯気が立ち込める中でふと鏡を見ると、こう思った。

「あれ……曇ってない?」

バスルームの鏡は、普通なら湯気で真っ白になるはずだ。
でもこの鏡だけは、まるで誰かが拭き続けていたように、中央だけくっきりと映っていた

「最近のは曇り止め加工か?」と思ったが、特に説明書きもない。
触ってみると、鏡は冷たく濡れていた

それでも気にせずシャワーを続けたが、そのとき鏡に一瞬――自分の背後に“もう一人”の姿が映った気がした

気のせいだろうと自分に言い聞かせていた。


それから数日。

風呂に入るたび、鏡は曇らないままだった。

そして、確実におかしなことが起き始めた。

● 鏡に手形のような跡が浮かぶ
● 湯船に入っているとき、背後から「ふぅ……」と息を吹きかけられるような感覚
● 鏡に自分以外の足だけが映る

一番怖かったのは、鏡の中の自分が一瞬、別の表情を浮かべていたこと。

俺は無表情だったのに、鏡の中の“俺”が――微笑んでいた。


さすがに不気味で、管理会社に電話した。

「すみません、浴室の鏡がちょっと変なんですが」

すると、電話の向こうの男性が一瞬黙り、

「……その部屋、お風呂で亡くなられた方がいまして……
 ご遺体が発見されるまで数日かかって……
 当時の方が最後に触れていたのが、その鏡でして……」

俺はそれ以上聞けなかった。


その夜。

風呂に入ると、鏡の中央に女性の顔が浮かんでいた。

長い髪、濡れた頬、真っ直ぐ見開いた目。
こちらを見て、なにも言わず、ただ……見ていた。

怖くて目をそらすと、その顔が鏡の外側の水滴にまで浮かび上がっていた。

湯船を飛び出し、浴室を閉めて寝ようとしたが、寝つけなかった。


深夜2時ごろ。
ドアの向こうから、「コツ、コツ……」と足音が聞こえる。

バスルームの方向からだった。

恐る恐る見に行くと、ドアの下のわずかな隙間から、水が染み出していた。

ドアノブに手をかけようとしたとき。

鏡の向こうから声がした。

「……つぎは、あなたでしょ?」


次の日、俺はその部屋を退去した。
風呂も使わず、荷物だけまとめて、即日で。

今思えば、あの鏡は“曇らなかった”のではない。
誰かが、曇らせてくれなかったのだ。

最後にバスルームを閉める前、鏡にうっすらと浮かび上がっていた。

 「さようなら」 と、
指でなぞったような文字が。



今回はどうでしたか?実話を元に作成しました。信じるも信じないも皆さんしだいです。