超短編小説 タイトル:私の敵は20時に現れる

タイトル:私の敵は20時に現れる
時計の針が、20時に差し掛かろうとしていた。今日もまた、あいつが来る。そう確信していた。
いつも決まって、この時間に現れる黒い影。私の敵、ゴキブリだ。
「今夜こそ…!」心の中で決意を固め、キッチンに目を光らせる。奴は毎回、何もなかったかのように現れ、その不気味な動きで私を翻弄してきた。だが、今日は違う。手には最新の殺虫スプレーが握られていた。
カチ、カチ、カチ…。時計の針が刻む音が、心臓の鼓動に重なる。そして、20時ちょうど。キッチンの隅から、黒い影が滑り出てきた。「いた!」反射的にスプレーを噴射するが、奴は巧妙に避けた。
その素早さに一瞬たじろぐ。しかし、私はもう逃げない。今日は絶対に負けないのだ。再びスプレーのノズルを向ける。そして――
ゴキブリは、ふっと消えたかのように視界から消えた。だが、私は知っている。明日の20時が来れば、奴は必ず現れる。
終わり
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