1日1日を楽しく生きる

ある日の夏に脳幹出血で倒れ復活日々の日常の日記や最近覚えたてのチャットGPTを使って詩や小説などチャレンジしてます。

短編小説作成しました。タイトル:『影の報酬』

ミノ711

※小説の様な経験しないでくださいね。

タイトル:『影の報酬』


プロローグ

 高橋翔太、21歳。都内の私立大学に通う大学三年生。経済学部で統計と経済政策を学びながら、居酒屋と宅配ピザのアルバイトを掛け持ちしていた。実家は地方の中小企業経営だが、父の事業が不振に陥り、学費は奨学金と自力で賄っている。

 生活は苦しかった。家賃を抑えるために六畳一間のアパートに住み、食事はインスタント麺とスーパーの値引き惣菜が中心。スマホ代を滞納したことも一度や二度ではない。春からのゼミでは、海外研修に参加する可能性があると聞いたが、旅費どころか通学定期さえ満足に買えない。

 そんなある日、Twitterで奇妙な投稿を目にした。

《📩【高額バイト募集】履歴書不要/即日払い可/学生・初心者歓迎!📩》

 興味本位でクリックすると、リンク先はLINEのQRコード。躊躇しながらも友達登録すると、すぐに返信がきた。

「明日都内某所で面談あり。日給5万円以上可能。詳細は現地にて説明。」

 怪しすぎる。だが翔太は、文字通り「金がない」状態だった。今月の家賃の振込期限は明後日。アルバイトの給料日はさらに先だ。

 迷った末、翔太は返信した。「参加希望です。」

 次の日届いたのは、駅から徒歩で行けるビジネスホテルの一室の住所と、「身分証不要・私服で来てください」という指示。まるで素性を隠すように。

 心のどこかで「やばいかもしれない」と思った。しかし、その「かもしれない」に抗う気力は、翔太にはもう残っていなかった。

(俺の人生、ここでちょっとくらい脱線しても……どうせ、誰も困らないだろ)

 そう自分に言い聞かせながら、翔太はその夜、ホテルへ向かう道を歩き出した。


第一章:誘いの影

 ホテルのロビーは妙に静かで、宿泊客の姿もまばらだった。指定された部屋番号は「407」。翔太はエレベーターを上がり、やや緊張した面持ちでドアをノックした。

「……どうぞ」

 くぐもった声が応え、翔太がドアを開けると、中にはすでに数人の若者が座っていた。年齢も格好もバラバラだが、共通していたのは皆が無言で、うつむき加減だったこと。

 奥のベッド脇には、黒いキャップを深くかぶった男がいた。目元すら見えない。声も低く、感情がこもっていない。

「集まってくれてありがとう。今回の仕事はシンプル。ある家に行って、玄関先に置いてある封筒を取ってくるだけ」

 ざわつく空気の中、翔太は疑問を抱いた。

「……それって、合法なんですか?」

 キャップの男は、一瞬沈黙した後、口元だけで笑った。

「心配はいらない。受け取るだけだから、君らに責任はない。ただし、約束は守ってくれ。時間通りに動き、指示には従う。もし破れば、報酬はゼロだ」

 その「報酬」が、現金でテーブルに積まれていた。厚さ2センチはある札束。明らかに、5万円以上は入っている。

 翔太の喉が鳴った。その金額は、彼が居酒屋で一週間働いて得られる収入を超えていた。

「それと、これは確認だが……途中でやめるのは禁止だ。今ここでやめるなら帰っていい。でも、やると決めたら、最後までやってもらう」

 無言のままうなずく若者たち。翔太も、その流れに逆らえず、うなずいた。

「じゃあ、今夜21時、○○区の住宅街に集合だ。詳しい住所はグループLINEに送る」

 部屋を出た後、翔太は一人でコンビニに立ち寄った。タバコ売り場の前で立ち尽くしながら、自分が何を始めてしまったのかを考える。

(やばい仕事だったら、やめよう。最悪、逃げればいい……)

 だがその時、翔太のスマホに通知が届いた。さっき登録されたグループチャットには、翔太の本名、大学名、最寄駅が投稿されていた。

《逃げたら、家族によろしくな》

 背筋が凍った。誰が何を知っているのか――わからない。ただ、逃げられないということだけは、はっきりした。


第二章:闇の中へ

 夜九時、翔太は指定された住所の近くにいた。閑静な住宅街。街灯がぽつぽつと点在するだけで、人の気配はほとんどない。LINEで送られた地図の赤いピンは、ある一軒家を指していた。平屋の古びた家で、門も玄関も閉ざされている。

(ここで、何をするんだ……?)

 翔太はポケットの中で手を握りしめた。汗ばんだスマホが、手のひらにじっとりと貼り付く。

 グループLINEには「着いたら“既読”だけつけろ」と書かれていた。翔太は言われた通りにしてから、10分ほどその場に立ちすくんでいた。

 不意にメッセージが届く。

《玄関に封筒ある。取って、袋に入れてこっそり持って帰れ》

 それだけだった。翔太は意を決して門を押すと、ギイ、と音を立てて開いた。慎重に進み、玄関へと歩く。ポーチには照明がなく、スマホの光で足元を照らす。

 扉の前に、白い封筒がぽつんと置かれていた。中身が何なのかは分からないが、少なくとも今は、人の気配はない。

(……これで終わるなら、全然たいしたことないじゃん)

 翔太はそう思いながら封筒を拾い、リュックに押し込んだ。来た道を振り返り、静かに門を閉めたその時だった。

 背後から足音が聞こえた。

「……誰だ?」

 翔太はとっさに駆け出した。走った。家の角を曲がり、一気に大通りまで出ると、足がもつれるようにしてバス停のベンチに腰を下ろした。

 鼓動がうるさい。呼吸が荒くて、手が震える。スマホにまた通知が入る。

《よくやった。次も頼む》

 そこには、新しい住所と「集合は明日、昼12時」とだけ書かれていた。

 翔太は封筒の中身を確かめるため、そっとリュックを開けた。札束と、小さな紙切れ。

《次のターゲット:○○区△△町●●番地》

 手が震えた。これはただの「荷物運び」じゃない。何か、もっと危ないことに巻き込まれている。

 帰りの電車の中で、翔太はずっと考えていた。だが、次の指示に背いたら、どうなるのか――グループチャットの「警告」が脳裏を離れなかった。

(俺は、もう……戻れないのか?)


第三章:深まる疑念

 翌日の集合場所は、郊外のショッピングモールの駐車場だった。翔太が到着した時には、すでに数人の若者が車のそばに立っていた。前回ホテルにいた顔ぶれも混じっている。

 そこへ、昨日と同じキャップの男が現れた。黒いセダンに乗ってきて、運転席から窓越しに命令を下す。

「お前ら、二人一組で行動する。今回の仕事はちょっと難しいが、報酬は倍だ。十万円出す」

 一同がざわめいた。翔太の脳裏には、昨夜の金とあの封筒が浮かんでいた。

「内容は、ある家に入って、指示された“ブツ”を回収してくる。それだけだ」

 翔太の胸に、はっきりとした疑念が芽生えた。

(これ……もしかして、泥棒させられてる?)

 だが、ここで断れば何が起こるか分からない。すでに個人情報も握られている。言うことを聞くしかなかった。

「今回はお前と組んでもらう」

 そう言われて指名されたのは、金髪で派手な服装をした青年――山崎という名だった。彼は翔太に目も合わせず、終始無言だった。

 配られた封筒には、地図と住宅の間取りが記されていた。「勝手口から侵入し、二階の棚にあるケースを取れ」と、丁寧に指示が書かれていた。

「……これ、マジでアウトだろ」と翔太が呟くと、山崎は肩をすくめて言った。

「今さらだろ? 俺ら、もう戻れねーよ。さっさと終わらせて、金だけもらおうぜ」

 車でその家に向かう途中、翔太の手は冷たくなっていた。家の中に人がいたら? 通報されたら? ――逮捕されたら?

 到着したのは、住宅街の一角にある大きめの家だった。電気は消えていて、人の気配はない。

 二人は、言われた通り裏口から侵入した。鍵は開いていた。きっと、誰かが“事前に”準備したのだろう。

 家の中は静まり返っていた。まるで誰かが帰ってくるのを待っているかのように。

 翔太は二階の部屋に入り、指示された棚を開けた。そこには、本当に“ケース”が置かれていた。中には何が入っているのか分からない。ただ、それが異常に重かった。

(まさか、薬物とかじゃないよな……?)

 急いで外に出ると、山崎が見張りをしていた。

「終わったか? じゃ、さっさと消えるぞ」

 二人は来た道を引き返し、車に乗ってその場を後にした。途中、翔太は黙ったまま、窓の外の夜景を見つめていた。

 これ以上深入りすべきじゃない――頭ではそう分かっていた。それでも彼の中で、十万円という現実の重みが、判断力を麻痺させていた。

(俺が今してるのは……完全に犯罪だ。でも、誰も止めてくれない)


第四章:崩れる日常

 翔太の生活は、目に見えて変わった。財布には常に現金が入っていて、食事もコンビニ弁当からカフェやレストランへと変わっていた。高級なイヤホンや新しい靴も買った。

 しかし、外面の変化とは裏腹に、翔太の内面は日々壊れていった。

 まず最初に変化に気づいたのは、大学の友人だった。

「最近、お前、なんか雰囲気変わったよな。顔色悪いし……大丈夫か?」

「いや、ちょっとバイト忙しくてさ」

 翔太は曖昧に笑ってごまかしたが、心の中では叫び声を上げていた。「誰か助けてくれ」と。

 母からの電話にも出なくなった。LINEも既読無視が続き、やがて通知が来なくなった。

 そしてある日、警察が大学に現れた。

 ゼミの最中、突然呼び出された翔太は、大学の事務室で私服の警察官に事情を聞かれた。

「○○町で起きた窃盗事件の件で、ちょっとお話を伺いたいんです。お時間いただけますか?」

 その時、翔太の中で、すべての時間が止まった。

 だが、警察は証拠を持っていなかった。ただ「防犯カメラに似た人物が映っていた」とだけ言い、翔太はなんとか「その日はバイトだった」と嘘をついて切り抜けた。

 けれど、翔太は知っていた。これはもう時間の問題だ。

 その夜、グループチャットには次の指示が届いていた。

《明日、荷物の運搬あり。参加できない者は除外する》

 「除外」。その言葉が、妙に生々しかった。グループから“消える”ことの意味は、すでに翔太にもわかっていた。

 不安に駆られ、翔太はついに大学の友人・圭介に相談した。

「なあ、もし……友達が犯罪に手を染めてたら、どうする?」

 圭介は一瞬驚いたが、静かに言った。

「……やめさせるよ。何があっても。お前がそうなんだろ?」

 翔太は何も言えなかった。ただうつむいて、震えていた。

 その夜、圭介からの通報で、翔太のアパートに警察が踏み込んできた。

 部屋からは、前回持ち帰った“ケース”が発見された。中には盗品と疑われる高級腕時計や現金が詰まっていた。

 手錠をかけられたとき、翔太の頭に浮かんだのは――自分の母親の顔だった。

(ごめん……)


第五章:逮捕と後悔

 取調室の空気は、冷たい金属のように張り詰めていた。壁には時計がひとつあるだけ。翔太は手錠を外され、テーブルの前に座っていた。向かいには、穏やかな口調の刑事が一人。

「高橋翔太さん。君が関与したとされる一連の事件、詳しく説明してもらえるかな?」

 翔太はうつむき、声を発するまでに数分を要した。

 黙秘を貫くこともできたかもしれない。だが、心の奥底で、もう終わりにしたいという思いが勝った。

「……最初は、本当に、金が欲しかっただけなんです」

 翔太は、SNSの求人広告から始まった経緯を、包み隠さず話し始めた。封筒の回収、民家への侵入、脅迫。グループチャットのやり取りも、保存していたスマホから確認された。

 警察はすでに、翔太が属していた“闇バイト”組織の一部を特定しており、彼の供述が決定的な証拠となった。

「君は末端の“実行役”だ。だが、罪は罪だ」

 そう言われた時、翔太は深く頷いた。罪を免れたいとは、もう思っていなかった。

 勾留中、翔太は弁護士を通じて、被害者に謝罪の手紙を出した。盗まれた物の一部は返還される見込みだが、心の傷は簡単に癒えないだろう。

 また、母にも手紙を書いた。

《お母さん、ごめんなさい。僕は、弱さから逃げました。もう一度やり直せるなら、きっと違う選択をしたい。でも、それがどれだけ難しいことか、今ならよくわかります》

 判決は、懲役2年、執行猶予3年。前科がつく。大学は退学処分となり、翔太はすべてを失った。

 だが、すべてが終わったわけではなかった。拘置所を出ると、そこには圭介が待っていた。

「……迎えに来たよ。お前がまた立ち上がるなら、俺はそばにいる」

 翔太は涙を堪えながら、うなずいた。


エピローグ

 出所後、翔太は一時的に実家に戻った。父の事業はすでに廃業しており、母はパートで家計を支えていた。近所の目は厳しく、翔太が外を歩くと、ひそひそ声が聞こえる。

 だが、翔太は逃げなかった。過去と向き合うことを決めた。

 まず始めたのは、自身の経験を綴るブログだった。「闇バイトに手を染めた大学生の告白」と題された記事は、SNSで話題となり、同じように金銭に悩む若者たちの目に留まった。

《怖かった。でも、何も言えなかった。あの時、誰かが止めてくれていたら……》

 翔太の文章は、決して巧くはなかったが、切実だった。やがてメディアの取材が入り、テレビやネットニュースで特集が組まれるようになった。

 数ヶ月後、ある高校から「講演に来てほしい」という依頼が届いた。翔太は最初断ろうとしたが、圭介に背中を押された。

「お前の声だから届くやつがいるんだろ?」

 その日、翔太は壇上で震える声で話し始めた。

「僕は、闇バイトに手を出して、すべてを失いました。でも……今、こうして話せていることが、僕の第二の人生の始まりだと思っています」

 会場は静まり返っていた。彼の言葉が、ひとつひとつ、聴衆の心に刺さっていく。

 その後も翔太は、全国の学校やイベントに招かれ、講演を続けた。どんなに小さな声でも、誰かを止める一助になると信じて。

 そして彼は、自分の物語を本として出版することになった。タイトルは――『影の報酬』。

 巻末には、こう記されていた。

《もう二度と、誰にも、同じ道を歩んでほしくない。そのために、僕は話し続ける。闇の中に手を伸ばす前に、誰かがそれを止めてくれる世界であるように――》

完