1日1日を楽しく生きる

ある日の夏に脳幹出血で倒れ復活日々の日常の日記や最近覚えたてのチャットGPTを使って詩や小説などチャレンジしてます。

短編小説作成しました。タイトル:封印された書庫

ミノ711

タイトル:封印された書庫



第一章 旧館の噂

 蒼葉大学の旧図書館には、学生の間でひっそり語られる噂があった。

 「地下にある書庫で本を開いた学生が行方不明になった」
 「そこにある本は、人間の“魂”を吸い取る」

 文学部3年の霧島由依は、卒論で大学の戦前史を扱っていた。そんな中でこの話に興味を持ったのは、軽い都市伝説くらいの気持ちだった。

 「そんなの、ちょっと怖いだけのネタでしょ?」

 だがその日、先輩の結城修司が顔を伏せたまま、こう囁いた。

 「……あの書庫、本当に“生きてる”んだ」


第二章 扉の向こう

 旧図書館は静かだった。だが“静けさ”の中に、何かが潜んでいるような感覚があった。

 地下へ続く階段の前、鉄扉には紙が何重にも貼られ、すべてに“血のような朱”でこう記されていた。

 《封禁 記録不要区域》
 《文献は“読まない”こと》

 「文献? まるで人間じゃなくて、“何か別のもの”を管理してるような……」

 修司が鍵を壊すと、音のない闇がふわりと広がった。


第三章 最初の本

 棚にあった一冊の本は、皮膚のような手触りだった。

 由依がページをめくると、最初の行に血文字でこう書かれていた。

 《私を読んだあなたに“記憶”をあげます》

 直後、彼女の耳に小さなすすり泣きが届く。

 「やっと気づいてくれたのね……」

 振り返っても、誰もいない。だが、視界の端に“白いワンピースの少女”の影が立っていた。

 瞬きをした瞬間、影は本棚の奥に消えた。


第四章 修司の異変

 数日後、修司は講義に来なくなった。寮の部屋を訪ねた由依は、机の上に異様なノートを見つけた。

 すべてのページに「やめて やめて やめて やめて」と書かれた文字。

 そして最後のページには、彼自身の名前ではなく――
 「霧島由依」とだけ、赤黒く滲んだ字があった。

 その夜、由依は夢を見た。書庫で燃える本棚、そしてその中で笑う“修司の背中”。

 「読んじゃったんだね、君も」


第五章 寄生

 大学の研究記録を追っていく中で、由依はある文書を見つける。昭和30年代にこの大学では、記憶を文書に変換し、“保存する”という実験が行われていた。

 それは人間の人格の断片を“寄生型書物”に転写するものだった。

 つまり、地下の本たちは“読者の中に入り込むために”存在している。

 読み手に寄生し、記憶と人格を“上書き”していく――

 そして、由依の身体にも変化が現れはじめた。鏡を見ると、自分の目が“赤くにじんでいる”。


第六章 最後の読者

 再び地下書庫を訪れた由依は、修司の姿を見た。

 彼は本棚の奥に立ち尽くし、笑っていた。

 「ここ、居心地いいよ。もう怖くない。全部、俺だったんだ」

 周囲の本が、どれも開かれたまま「ページをめくって」とささやいてくる。

 由依は“あの少女の本”を取り出した。

 《わたしの記憶をあなたに》

 読み終えたとき、由依の目から涙が一筋こぼれた。

 彼女は静かに本を閉じ、こう言った。

 「――ごめんね。でも、これで終わらせる」

 その瞬間、旧館が震え、書庫の入口が崩れ、すべての本が炎に包まれた。


エピローグ 封印は完了した、はずだった

 数年後、蒼葉大学の旧館は取り壊され、新たな学生会館が建設された。

 だがある日、書庫の跡地から発見されたコンクリートの中に――

 「霧島由依 著『記憶の書』」

 という1冊の本が、綺麗な状態で埋まっていたという。

 その本を開いた瞬間、研究員のひとりがこう呟いた。

 「あ……また、夢を見るかもしれない」


完

(呪いは終わっていない)